46.
幸福がつかの間だという哲学は、不幸な人間も、幸福な人間も、どちらも好い気持ちにさせる力を持っている。
– 三島由紀夫 -7768
47.
自分を理解しない人間を寄せつけないのは、芸術家として正しい態度である。芸術家は政治家じゃないのだから。
– 三島由紀夫 -7763
48.
忘却の早さと、何事も重大視しない情感の浅さこそ人間の最初の老いの兆しだ。
– 三島由紀夫 -7722
49.
アイデンティティーとは指紋である。最終的に一つあればいいんだ。
– 三島由紀夫 -7797
50.
「・・・したい」などという心はみな捨てる。その代わりに、「・・・すべきだ」ということを自分の基本原理にする。そうだ、ほんとうにそうすべきだ。
– 三島由紀夫 -7799
51.
目標をめざして努力する過程にしか人間の幸福は存在しない。
– 三島由紀夫 -7717
52.
この世には最高の瞬間といふものがある。この世における精神と自然との和解、精神と自然との交合の瞬間だ。
– 三島由紀夫 -7793
53.
女性は先天的に愛の天才である。どんなに愚かな身勝手な愛し方をする女でも、そこには何か有無を言わせぬ力がある。
– 三島由紀夫 -7755
54.
生命尊重のみで、魂は死んでもよいのか。
– 三島由紀夫 -7740
55.
三千人と恋愛をした人が、一人と恋愛をした人に比べて、より多くについて知っているとはいえないのが、人生の面白味です。
– 三島由紀夫 -7766
56.
決定されているが故に僕らの可能性は無限であり、止められているが故に僕らの飛翔は永遠である。
– 三島由紀夫 -7774
57.
女というものは、いたわられるのは大好きなくせに、顔色を窺われるのはきらうものだ。いつでも、的確に、しかもムンズとばかりにいたわってほしいのである。
– 三島由紀夫 -7758
58.
初恋に勝って人生に失敗するというのは良くある例で、初恋は破れるほうがいいと言う説もある。
– 三島由紀夫 -7759
59.
「強み」とは何か。知恵に流されぬことである。分別に溺れないことである
– 三島由紀夫 -7798
60.
僕は詩人の顔と闘牛師の体とを持ちたい。
– 三島由紀夫 -7721
61.
人間、正道を歩むのはかえって不安なものだ。
– 三島由紀夫 -7749
62.
精神分析を待つまでもなく、人間のつく嘘のうちで、「一度も嘘をついたことがない」といふのは、おそらく最大の嘘である。
– 三島由紀夫 -7738
63.
この世のもっとも純粋な喜びは、他人の喜びをみることだ。
– 三島由紀夫 -7791
64.
たいてい勇気ある行動というものは、別の在るものへの怖れから来ているもので、全然恐怖心のない人には、勇気の生まれる余地がなくて、そういう人はただ無茶をやってのけるだけの話です。
– 三島由紀夫 -7788
65.
男の世界は思いやりの世界である。男の社会的な能力とは思いやりの能力である。武士道の世界は、一見荒々しい世界のように見えながら、現代よりももっと緻密な人間同士の思いやりのうえに、精密に運営されていた。
– 三島由紀夫 -7732
66.
先生にあわれみをもつがよろしい。薄給の教師に、あわれみをもつのがよろしい。先生という種族は、諸君の逢うあらゆる大人のなかで、一等手強くない大人なのです。
– 三島由紀夫 -7736
67.
動物になるべき時には、ちゃんと動物になれない人間は不潔であります。
– 三島由紀夫 -7728
68.
無神論も、徹底すれば徹底するほど、唯一神信仰の裏返しにすぎぬ。無気力も、徹底すれば徹底するほど、情熱の裏返しにすぎぬ。
– 三島由紀夫 -7719
69.
変わり者と理想家とは、一つの貨幣の両面であることが多い。どちらも、説明のつかないものに対して、第三者からはどう見ても無意味なものに対して、頑固に忠実にありつづける。
– 三島由紀夫 -7723
70.
裏切りは友情の薬味であって、コショウかワサビみたいなものであり、裏切りの要素もその危険も伏在しない友情など、味がないと思うようになるとき、諸君はまず、青年のセンチメンタリズムを脱却した、一人前の大人になったと云えましょう。
– 三島由紀夫 -7713
71.
鈍感な人たちは、血が流れなければ狼狽しない。が、血の流れたときは、悲劇は終わってしまったあとなのである。
– 三島由紀夫 -7727
72.
若さが幸福を求めるなどというのは衰退である。
– 三島由紀夫 -7760
73.
善意も、無心も、十分人を殺すことのできる刃物である
– 三島由紀夫 -7735
74.
夕日とか菫の花とか風鈴とか美しい小鳥とか、そういう凡庸な美に対する飽くことのない傾倒が、女性を真に魅力あるものにするのである。
– 三島由紀夫 -7716
75.
崇高なものが現代では無力で、滑稽なものにだけ野蛮な力がある。
– 三島由紀夫 -7743